ウカンムリ日記>>ブログ
ブログのイメージ画像
2019 年 10 月 14 日

支える、支え合う

皆さま、ご無事でしょうか。各地で台風19号の爪痕が刻まれ、大変な思いをされている人が多いことに胸が痛みます。被災された方々に少しでも安堵の時間が増えますようにと祈りたく思います。

海のない長野県。千曲川の約70mにおよぶ決壊による大災害の様子をテレビや新聞の報道で見るたびに、昭和51年(1976年)9.12豪雨災害、長良川決壊を思い起こします。台風17号の接近に伴う集中豪雨で岐阜県安八郡安八町の長良川堤防が決壊し、安八町と墨俣町の全域に濁流が流れ込みました。

当時、小学生だった私は、しばらくして自分のクラスに、墨俣の小学校に通っているという女の子がやってきて、彼女が親戚を頼って疎開してきたことや、岐阜市内のお祭りである信長祭りが取りやめになったことを覚えているのですが、大人になって振り返ったときに、決壊直前まで懸命の水防作業が行われていたこと、緊迫する状況下、不気味な現象を感じながらの作業だったことなどを県の資料などで知りました。

『安八町9・12豪雨災害誌』によれば、「10時20〜25分、杭打ちは終わった。亀裂付近の北寄りの足場が柔らかくなり足が20センチほどめり込む状態だったが、のり面そのものは固く漏水は見られなかった。10時25〜26分、杭の下で立っていられないほど足下がグラグラ揺れ、地震のような振動が起こった。10時28分ごろ、草の根の切れる音が激しくなり、堤防に平行に強い揺れが起こった。地滑りというより、沈下した感じ」。その後、堤防は耐えきれず10時28分ごろに約50メートルにわたって決壊したということでした。

決壊の前後、そして今日とこれから。多くの人の困難を多くの人が支え、支え合いながら、普段の暮らしにまた戻ることができるように。願わずにはいられません。

(スタッフC)

2019 年 9 月 25 日

古墳はおもしろい

皆さま、こんにちは。朝晩は涼しくなり、空を見上げれば、夏と秋の雲が行き合う素敵な季節ですね。

心地いい風に誘われてちょっとお散歩でも、いえいえ、探検でも。外へ出かければ、思いがけない発見が待っていそうです。

ところで唐突ですが、最近ほんの少し調べる機会のあった「古墳」について。

古墳は3世紀から7世紀にかけてつくられたお墓のことですが、このところちょっと注目されているようですね。世界最大級の墳墓である仁徳天皇陵を含む「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」(大阪府)が世界文化遺産に登録されることが決定したのは今年7月のニュース!ちなみに日本全国にある古墳の数は15万基以上(古墳は「基」で数えるそうです)。コンビニ店舗数の約3倍というから驚きます。つまり古墳はとっても身近な歴史的遺産なのです。

守富環境工学総合研究所(Meel:ミール)のある岐阜市内にも琴塚古墳という国史跡がありますし、お隣の名古屋市には志段味古墳群というのがあり今年4月に「体感!しだみ古墳群ミュージアム」がオープンしたばかり。まずは身近な場所で、前方後円墳や円墳、方墳などのカタチ、造築の年代を確かめながら見るのも楽しそう。高層ビルも鉄道もないのびやかな景色のなかで築かれた古墳。その古墳づくりに携わった人の気力や知力に思いを馳せるのに、秋の澄んだ空の下はぴったり!です。

写真は某大学内にある5世紀に築造されたという古墳。古墳時代に生きた人々がつくったお墓と、未来を担う学生がキャンパス内で同居しているのは何とも面白いですね。古墳に登ると「留年する」という言い伝えがあるとか、ないとか・・・。秋は、学業に勤しんでいただきたい季節でもありますね。

 

(スタッフC)

 

 

 

2019 年 8 月 10 日

続・暑気払い!

皆さま、こんにちは。暑い毎日ですがいかがお過ごしでしょうか。守富環境工学総合研究所(Meel:ミール)のある岐阜市は連日高温。所長をはじめ、スタッフそれぞれがいい汗?をかいております。研究所の入っているビルは4階建てなので、上り下りして脚力、気力を養っています。「階段」は「お金のかからない薬」かもしれません。

さて、そんな酷暑の日に、ミールでは「続・暑気払い」をしました。実は、まだ暑くなりきらない7月初旬(しかも雨の日)に、早々と第一回めの暑気払いを玉宮町界隈でしてしまったのですが、その折に、いつも何かとお世話になっているKuさんのお宅で再度暑気払いをさせてもらおう!という話がまとまり、厚かましくも大勢でおじゃますることに。Kuさんの奥様の手料理やお話にも魅了されながら、楽しい時間を過ごさせていただきました。本当にありがとうございました。

お住まいのマンションはミールのすぐ近くにそびえたつJR岐阜駅隣接の43階建。Kuさんの居室がある階からの眺望はすばらしく、信長気分を味わえる感覚・・・岐阜の足元から遥か先まで見渡せます。ここからはいくつもの花火大会の花火が見えるそうで、さぁーっと心身を渡り抜けるような風も心地いい!高所大好きな私はこの快感を満喫しすぎて、肝心の写真を撮り忘れました(反省)。ですので今回のフォトグラファーはNさん。世界デビュー作です!

お盆を挟んでの夏休み。ミールも10日から18日までお休みをいただきます。皆さまもゆっくりとお過ごしくださいね。

(スタッフC)

 

 

2019 年 7 月 25 日

長良のぶどう

皆さま、こんにちは。梅雨明けしたのかどうなのか、本格的な夏がやってくる直前、いかがお過ごしでしょうか。

さて、守富環境工学総合研究所(Meel:ミール)がある岐阜県岐阜市の夏の風物詩といえば、長良川の鵜飼。千三百年の歴史を誇り、織田信長など時の権力者にも愛されてきた鵜飼は全国的にも知られています。でも全国的には知られていなくても地元の人たちに愛されている岐阜市長良地区のぶどうも百年の歴史があり、その美味しさはなかなかのもの。長良川畔の堤防に、ぶどうの直売所が並ぶ様子は、岐阜市の夏を彩る風物詩の一つです。

ぶどうの産地としては山梨や長野が有名どころですね。岐阜市長良地区のぶどう栽培が始まったのは大正時代、山梨県から岐阜へ移住されたかたによりスタートしました。岐阜に転勤したお兄さんのすすめで見に来て、長良地区が故郷の甲府盆地を流れる笛吹川畔の景観に似ていたことが決め手だったそうです。

とはいえ、岐阜市は他のぶどう産地と比べると「多雨」で、ぶどう栽培の好適地とはいえない土地。そのため先人たちが努力を重ねて「今」があります。長良地区のぶどう畑のほとんどがビニールハウス風なのは、雨が当たらないようにするためなのです(ビニールは天井のみ。横は通気性がよいようにビニールはありません)。

昭和36年からはぶどう狩りが始まり、レジャースポットとして大賑わいだった時代がありました。そして昭和49年頃から農家が直接お客さんに売る「直売」スタイルが定着。ぶどう畑の脇や堤防沿いの道路に直売所が設けられ、農家さんが直接お客さんの声を聞きながら、リピーターの期待に応えようと美味しいぶどうづくりを続けているのです。

デラウェアと巨峰がメインですが、農家によってはいろいろな種類を作っていて、綺麗な色合いのバリエーションにも心が浮き立ちます。時期は7月下旬から9月いっぱいまで。糖度が高く、みずみずしい長良のぶどう。試食をしながら直売所めぐりも楽しいですよ。ぜひ味わってみてください。

(スタッフC)

 

 

 

皆さま、こんにちは。

ミール風ブックトーク「読んでミール?」の第二弾をお送りします。今回のテーマは、ミールの仕事の4つの柱、リサイクル・エネルギー・環境・人とのつながりのうちの、「人とのつながり」。とっても広がりがあって、なんでもあり?のようなテーマですが、ミールの2人がブックトーカーとなって、それぞれのこころの本棚から好きな本をご紹介します。

なお、打ち合わせなしで進めていますので(笑)、ご紹介する本の年代に偏りがあります。

新しい本や話題になった本、昔の本だけどいまも出版され続けている本、もしかしたら絶版の本?など、もしよかったら読んでみてくださいね!

 

Book Talker Naomi***

 

①瀬尾まいこ著
『そして、バトンは渡された』(2018)文藝春秋
それは2人の母と3人の父の間をバトンを渡すように育てられた女の子の話です。

母親が幼い時に亡くなり、父親が若い女性と再婚する。その父が海外赴任する事になり若い義母と日本で暮らすが…その後、父との連絡が途絶え義母は高齢の男性と結婚する。しかし義母は出て行き義父と暮らしていると、義母が迎えに来て今度は若い男性と結婚する。そしてまた義母は出て行き、若い義父との生活が…。こう聞くと何という大変な生い立ちで、苦労を重ねて成長してきたんだろうと思いますが…本人は全然苦労をしたとは思っていなくて、むしろ5人の親達から沢山の愛情をもらって、とても幸せに暮らしていたと思っています。
確かに、中には一風変わった形の愛情表現の親もいますが…でも間違いなく皆が彼女をとても愛していたのです。そして彼女がその愛情を愛情として受けとめる心があったからこそ…胸を張って幸せだと言えるのだと思います。
人と人とのつながりは相手を思いやる心、そしてそれを受け入れる心があって初めて成立するのかと思いました。

 

②海猫沢めろん著
『キッズファイヤー・ドットコム』(2017)講談社
これはホストをしている男性が自分の玄関の前に捨てられていた赤ん坊をクラウドファンディングで育てる…という近未来的な話です。
名前を付ける権利とか初めて抜けた乳歯をもらう権利とか!奇想天外な発想でお金を集め育てていく。中には「これはどうなのだろう?」というものもありますが。

でも基本的にはこのホストは自分の子かどうかも分からない赤ん坊に愛情を注ぎ、どんな事をしてでも育てようとしている事は素晴らしいと思います。
そして子育てを助けるため、クラウドファンディングで出資している人達もこの子の為に何かしようという思いを持った人達で…。これこそ人と人とのつながりかなと思った一冊です。

 

③辻村深月著
『ツナグ』(2010)新潮社
これは人と人のつながりと言っても、片方はもう亡くなった人という変わりダネで、一生に一度だけ死者との再会を叶えてくれる使者(ツナグ)を継承した高校生の話です。
それは自分の思いをお互いに伝えられないまま亡くなった親子だったり恋人同士だったり、友達だったりを一晩だけ会わせる仕事。そこには会いたい人に会えて思いを伝えられた喜びもありますが…またすぐに別れる悲しみや知らなかった方が良かった苦しみもあります。

間近で色々な人の出会いを経験し、自分の両親が亡くなった訳も知る事になるツナグという仕事。彼が最後にその仕事を継承する事を決めたのも、やはり人と人(死者ですが)が対話すること(つながる)ことに意味を見出したからなのかもしれません。

 

 

 

Book Talker Chie***

 

(1)

文シャーロット・ゾロトウ、絵メアリ・チャルマーズ、訳矢川澄子

『にいさんといもうと』(1978)岩波書店

この絵本の登場人物はにいさんといもうとの二人だけ。にいさんが妹をからかって、ちょっといじわるな言葉を言うたびに妹が泣く、という繰り返しのお話です。でも妹はお兄ちゃんのいじわるを真に受けているばかりではありません。ある日、本当はいじわるなんてしていないことも知るのです。だから、二人はやっぱり自然に仲良く並んで遊びます。

私ごとながら、私には5つ年上の兄がいて、幼い日、心配性の兄は生まれたての妹の様子を見に行くために度々保育所を脱走しては家に帰り、小学6年になると1年生になったばかりの妹の教室を何度も見に行ったそうです。そういう兄がいて、私がいるのかなと思います・・・。

兄と妹の幼いやりとりのなかに温かみや平和を感じ、二人のつながりのなかに言葉では表せない皮膚感覚の信頼や親しみを感じるこのお話。子どもの読者はどう感じるのかはわからないのですが、大人の読者は本に呼吸を合わせているうちに懐かしく、子どものときにふと戻れるような感覚になります。何と言っても水色と黄色の配色が美しくて、やさしい。活字や絵は無音でも、愛らしい音楽が聞こえてくるみたいに。

ちなみに英語タイトルは『BIG BROTHER』。日本語訳のタイトルのやさしさが素敵だなーと思うのですが、いかがでしょう?

 

(2)

ぶんジャニス・メイ・ユードリー、えモーリス・センダック、やくこだまともこ

『きみなんかだいきらいさ』(1975)富山房

こちらの登場人物も二人だけ。ジェームズとぼくの友情のお話です。最初のページは「ジェームズとぼくはいつもなかよしだったよ」と始まるのに、次をめくると「でも、きょうはちがう。ジェームズなんかだいきらいさ」となってしまう。二人がどれほどなかよしだったかは「みずぼうそうにもいっしょにかかった」ほどなのに、「でも、もうジェームズとはいっしょにみずぼうそうにかかったりするもんか」とぼくは怒っています。

ページごとにジェームズに対する不満が伝えられ、怒り続けるぼく。彼らは一体どうなるの?それは大人の読者ならわかっていることですが・・・やっぱり、仲直りできるようです。こちらも配色の妙、緑と赤の二つの色にこころが動く一冊で、白地を生かした「間(ま)」も言葉以上に雄弁で幼い二人が生み出す空気感を表現しています。

英語タイトルは『LET’S BE ENEMIES』。あれれ、これは、穏やかな表現ではないような。私なら、『だいきらいは、だいすき』と付けたい本です(笑)。

英語の絵本や児童書の翻訳はとても難しいことなんだろうなあと想像します。タイトルはなおさらのこと。シンプルでわかりやすく、そしてイメージがふくらむように。日本語、そしてひらがなの柔らかな力を借りて、こころをそっと包んだり、ドキドキワクワクさせたり!短い文章やタイトルを味わうことも読書の楽しみですね。

 

(3)

平野レミ著

『笑顔がごちそう』(1997)講談社

料理愛好家、シェフではなくてシュフという平野レミさんのお料理番組を見たことのある人ならば、彼女の自由で楽しいお料理づくりの様子に思わず笑顔になり、肩の力が抜けるのではないでしょうか。

さて、おしゃべりやふるまいが楽しい人の本はやはり楽しい!ということが実感できるのがこの本。レミさんの独創的な料理「七夕そうめん」や「もちもちカレーチャウダー」「きんぷらおやき」を紹介する写真も魅力的ですが、エッセイやイラストレーションがとにかく楽しい。「みんなで食べると仲良しになる」「誰かのためにおいしいものを」「小さい子は詩人」などのエッセイでは、子供や夫、友達など身近な人とのつながりが、食べものや食卓を囲む時間を通じて描かれています。お子さんたちが描いたという絵もユーモアたっぷり。本の装丁・デザインは夫でイラストレーターの和田誠さんという家族の愛情が満ちた一冊です。ちなみにこの本は20年以上前の本で、本に登場するお子さんたちも今では立派な大人。今ではそのお嫁さんも料理研究家として活躍していますね。家族の成長とともに、つながりも変化して広がったり深まったり。そんなことを思い浮かべながら読むのも楽しいですよ。

 

 

***

 

 

写真は、岐阜市庁舎建設中の写真。「ささえーる」という言葉をかかげるクレーン車もひと休み。

「ささえる」強さも時には休んで、人のつながりの中でゆっくり、のんび〜りしたいですね。

 

(スタッフN&C)

 

新着記事

2022年10月21日
読んでミール?vol.14 〜触れる〜
2022年07月29日
月刊「MATERIAL STAGE」に寄稿しました
2022年06月06日
画集「GIFU CITY ILLUSTRATION」
2022年05月25日
読んでミール?vol.13 〜香〜
2022年04月22日
ミール新事務所のご案内

WEBフォームからはこちらです。

お電話は営業時間内のみ受け付けております。(平日9時〜17時)