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皆さま、こんにちは。

今日はミール風ブックトーク「読んでミール?」の第8弾をお届けします。

テーマは「秋」。食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋といろいろありますが、すべてを満たすのが「読書の秋」かもしれません。ですので、どんな本もこの季節の心地よさのなかで存分に味わっていただきたいのですが、あえて「秋」をテーマにブックトークを試みます!

今回もブックトーカーふたりのこころの本棚から3冊ずつ、ご紹介します。

第8弾「読んでミール?」の始まり、はじまり。

 

Book Talker Naomi***

 

①  新美南吉 著

『ごん狐』(1932年発表)  新美南吉童話集(大日本図書)他多数

教科書にも載っている日本人なら一度は読んだ事のある「ごん狐」。
秋の彼岸花を見るたびに、赤い布のように咲き続いた彼岸花の中を白いかみしもつけた兵十がおっかあの位牌を抱いてしょんぼり歩いている姿が目に浮かびます。
お店に栗や松茸を見かけるようになると兵十の為に家の戸口にそっと置いて行くごんを思います。
私が通う朗読教室でも何度も扱った作品で、そのたびに泣かないように読むのに苦労した作品でもあります。
でも最近、実はラストは悲しいだけの場面では無いと思うようになりました。
ごんはひとりぼっちで寂しく、同じようにひとりになった兵十に自分を重ね合わせます。でも自分がせっかく持っていった栗や松茸が神様のおかげにされている事につまらなく思っていたので、最後の最後で兵十に分かってもらえた事で一瞬でも幸せを感じたのではないかと思います。…いやそう思いたいです。

 

② レオ・バスカーリア 著
『葉っぱのフレディ いのちの旅』絵本(1998) 童話屋

この本はアメリカの著名な哲学者レオ・バスカーリア博士が書いた生涯唯一の絵本です。
葉っぱのフレディの目を通して葉っぱの一生=自然の営みが描かれています。
それは人間の一生にも通じるものがあり、子供たちが死というものを考えたり、人生を考えるきっかけになるような本だと思います。
始めは文章だけの物を読んで心が震えたのですが…今回絵本を取り寄せてみて、素敵な写真と移り変わっていくフレディの姿のイラストに、より一層の感動をおぼえました。ぜひ絵や写真も一緒に楽しんでいただければと思います。
尚、この本は四季を通して描かれていますが…葉っぱが劇的に変化する秋のイメージが強くて「秋」の本に選びました。

 

③上橋菜穂子 著
守り人シリーズ (12冊)
精霊の守り人
闇の守り人
夢の守り人
虚空の旅人
神の守り人(上・下)
蒼路の旅人
天と地の守り人(全三部)
流れ行く者(短編集)
炎路を行く者(番外編)

上橋菜穂子はこのシリーズで2014年に国際アンデルセン賞を受賞した他、バチェルダー賞、野間児童文芸新人賞、路傍の石文学賞、巌谷小波文芸賞など数々の賞を受賞しています。

これはファンタジーと分類される架空の世界のお話で、想像上の国や人々、それに異界の魔物や精霊までも出てくる物語です。
主人公はバルサと呼ばれる凄腕の女用心棒です。年齢は主役としては珍しい30代と中年に差しかかる年齢ですが、これまでの危険と隣り合わせの生活から沈着冷静に状況を見極め対処し、沢山の男を相手でも決して負ける事なく、頼まれた人を、命をかけて守りぬく…本当に憧れるほどにクールで格好良い女性です。
ある時、命を狙われた新ヨゴ皇国の幼い皇子チャグムの用心棒を頼まれ、守りながら隠れて暮していく中で、バルサとチャグムは少しずつ心を通わせ信頼関係を築いていきます。それはチャグムが王宮に戻った後も続き、チャグムに危機が迫ると、バルサはどんな所にいても必ず助けにやって来てくれるスーパー頼りになる用心棒であり続けます。
この全12冊には幼いチャグムが成長して国王になるまでの十数年が描かれ、新ヨゴ皇国内の陰謀や近隣諸国との軋轢、そして巨大な国からの侵略の脅威とそれに対する抗戦、さらに異界の魔物や精霊たちが絡みあいハラハラ・ワクワク・ドキドキが一杯つまっています。
そんな大変な状況の中で、バルサが唯一ほっと出来る場所が、薬草で怪我や病気の治療をしてくれるタンダという男性の所です。そして彼の作るキノコたっぷりの山菜鍋はバルサ最大の癒しです。

このキノコたっぷり山菜鍋のイメージから、私はこの作品を「秋」の本に選んでみました。
上橋菜穂子さんの沢山の作品の中には美味しそうな食べ物が色々出てきます。
そもそも架空の世界の話なので食べ物も架空の物が多いのですが、食べてみたいという読者が多かった為か、その料理本も出版されています!ページをめくると美味しそうなメニューがずらり。もちろん「タンダの山菜鍋」も入っていますので、秋の夜長に守り人シリーズを読みながら「山菜鍋」を食べるのはいかがでしょうか?

[参考文献]
上橋菜穂子・チーム北海道 著
「バルサの食卓」料理本(2009) 新潮社

 

 

Book Talker  Chie***

 

1 八木重吉 作

『秋の瞳』(1925年発表)『貧しき信徒』(1928年発表)ほか

夭折の詩人、八木重吉(1898-1927)の詩は、静かで清らかでありながら、時に、生きていることの喜びが弾けるような、世界を鮮やかに浮き立たせるような力を感じます。やさしい言葉で簡素に、でも丁寧に。

たとえば、『貧しき信徒』の一編、「素朴な琴」。この詩が一番好きというファンが多いのではないでしょうか。

 

素朴な琴

 

この明るさのなかへ

ひとつの素朴な琴をおけば

秋の美しさに耐えかね

琴はしずかに鳴りいだすだろう

 

秋の美しさに耐えかねて鳴り出すのは詩人のこころ、詩心そのものでしょうか。詩人でなくともこころを澄ませて秋の景色に身を浸したときに、ふるえるように、内なる「素朴な琴」が鳴りだす瞬間が、誰にも私にもある気がします。

刊行された二つの詩集『秋の瞳』『貧しき信徒』(後者は重吉没後に刊行)を中心に、重吉の作品はさまざまな本で目にすることができますが、インターネットの電子図書館「青空文庫」もおすすめです。https://www.aozora.gr.jp

青空文庫は著作権の消滅した作品と「自由に読んでもらってかまわない」とされたものをボランティアの力によってテキストを打ち込み、校正、ファイル作成などをして電子図書館にしているものです。

話を重吉に戻しますね。重吉の詩作は5年という短い期間でしたが、今もこうして生きている詩の世界の不思議を感じます。生前に自ら編んだ『秋の瞳』の序はこんなふうに始まります。

私は、友が無くては、耐へられぬのです。しかし、私には、ありません。この貧しい詩を、これを、読んでくださる方の胸へ捧げます。そして、私を、あなたの友にしてください。

詩を受け取って、友となる。時空を超えて素敵ですね。季節では「秋」をもっとも好んだといわれる重吉の詩をもう一つだけご紹介します。

 

果物

 

秋になると

果物はなにもかも忘れてしまって

うっとりと実(み)のってゆくらしい

 

2 リチャード・マシスン 著

『ある日どこかで』(2002)創元推理文庫

うっとりと広がる空想に身をゆだねる・・・それは秋の夜長の醍醐味ではないでしょうか。『ある日どこかで』という作品との出会いは、私の場合、映画が始まりでした。映画を観たのは1980年頃ですから、もう40年も前の話です。高校の制服を着たまま入る映画館というドキドキとあいまって、この映画を観たときのうっとり感は今も忘れられません。当時は小品扱いで、同じ映画を観た!という人と共感する幸運に恵まれることなく、一人サントラ盤を探し、美しい音楽にもうっとりしていました。その後、インターネットが普及してこの懐かしい映画を検索して驚きました。いつのまにか希代のロマンチックファンタジー映画として再評価する動きが世界中で広まっていたのです。

肝心の本の話をしなくてはいけません。著者のリチャード・マシスンは『激突!』というあの怖い映画の原作でも有名で、ジャンルに縛られずに作品を世に送り出してきた人物。『ある日どこかで』は、美しい女優の昔のポートレートを見た男性がこころをひかれて時間旅行を試みて女優に会い、やがて・・・というお話。世界幻想文学大賞受賞作ながら、邦訳が出るまでに四半世紀を要したというファンが待ちわびた作といわれています。作品の冒頭は「1971年11月14日」とブログ(日記)風に始まり、主人公の男性が75年の歳月を隔てて恋に落ち、愛を育んだ秋の日々の物語ともいえる作品です。

ちなみに映画の主演は、スーパーマンで有名なクリストファー・リーブ、そしてあまりにも美しいジェーン・シーモア。二人が醸し出す知性と瑞々しさにもうっとりします(あっ!また映画の話に戻ってしまいました・・笑)

 

トーベ・ヤンソン著

『ムーミン谷の十一月』(1980)講談社文庫ほか

ムーミン好きの大人はもちろん、ムーミンの世界の扉をまだ開けたことのない人にもぜひ読んでいただきたいムーミンの小説。この作品は一連のムーミン小説の最後で、寒さや寂しさを感じる秋のムーミン谷(ムーミン一家や仲間たちが住んでいるところ)が舞台です。11月という名前が入っている小説というのも珍しいので選んでみましたが、でもチョイスの本当の理由は、私もこの時期に読み返したくなったから・・。

ムーミンの小説世界なのに、なんと、この本には主人公であるムーミン・トロール(皆さんがご存じのムーミンといわれている子)や、哲学者のようであり冒険家でもあるムーミンパパ、やさしくて皆から信頼されているムーミンママ、ムーミン一家と同居するちょっといじわるな発言の多いミィといった主要人物?が登場しません。

登場するのは彼らにふと会いたくなったり、恋しくなったりしたスナフキンをはじめとする人たち。そういった人たちが集まって過ごすことになるこの作品では、たとえば自由と孤独を愛するスナフキンも、自分の自由や孤独はムーミン一家とあってこそ味わえるものと気づきます。

この作品は、作者のトーベ・ヤンソンが母親をなくしたころに書かれたものといわれています。絆の深いお母さんへの思慕も作品のなかに寄り添っているような気がして、秋に読んでみたくなる作品の一つです。

 

(スタッフN & C)

皆さま、こんにちは。爽やかな季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

さて、先週、インテックス大阪にて開催されました「第8回[関西] 高機能素材Week」にて守富寛が講演をいたしました。ご聴講いただきました方々、事務局の皆さま、ありがとうございました。

事務局のご担当者によりますと、今回は、事務局の予想を上回る2万7千人以上の業界関係者の方々が来場され、多くの商談が行われたとのこと。会期3日間で5千人を超える方々がセミナーを聴講されたそうです。コロナ対策を何重にもされての開催でした。事務局の皆さま、お疲れさまでした。

会期中の会場の様子の動画・速報を送っていただきましたので、本ブログでもご紹介します。ご興味のある方はご覧ください。

会場の様子はこちら

 

(スタッフC)

 

皆さま、こんにちは。8月のあの酷暑は消えゆき、少し涼しくなりました。おかげさまでミール南壁アートウォールも完成し、一息つきました。

今回は制作者である画家のMADBLAST HIROさん(以下、HIRO)と守富環境工学総合研究所(Meel:ミール)所長の対談タイムをお送りします!

 

 

守富所長/まずはHIROさん、本当にお疲れ様でした!制作時はあまりに暑い日々で心配していました。

 

HIRO/皆さんにお気遣いいただき、ありがたく思いながら制作していました。守富先生や奥様、ご近所の方々にも良くしていただき感謝しています。ありがとうございました!

 

所長/苦労したことも多かったのでは?

 

HIRO/そうですね…苦労したというと、やはり壁のゴツゴツ感をどう塗っていくか?ということですね。下地塗りには1日半かかりました。アクションペイントで粗いタッチで表現するときも、そのゴツゴツ感があるために思い通りにするのが難しくて(笑)。それから、作品の大きさに対するバランスを見るのもとても勉強になりました。

 

所長/高さ8m超えの壁のキャンバスで、足場の足元は幅60cmと狭いわけですからねえ。HIROさんは足場にいると、絵全体を引いて見られないだろうから、どうやって作品づくりをしていくのかなと興味がありました。

 

HIRO/手元のラフはA4サイズなんですが、それに付けたグリッド(格子状の直線)と同様に、壁に付けたグリッドを基軸にして進めていきました。集中するときは1時間ぶっ通しということもあり、絵を描くというよりは「作業」に近かったですね(笑)。区切りごとに、下へ降りて全体像を見て…という繰り返し。作品の仕上がり具合に応じて、細かく下に降りて確認しながら進めていました。

 

所長/何度も言うけど、とにかく暑かったし、午前も午後も全身を陽に晒されてましたよね。天候に恵まれたというのか・・・8月13日の午前に少し雨が降ったぐらいで、お天道様は10日間、ほぼ皆勤賞!

 

HIRO/そうですね(笑)。皮膚が焼けるとやっかいなので、とにかく長袖を着て皮膚の露出を少なくしました。タオルを濡らして使ったりして、涼しさを取り入れる工夫とか。昔、着ぐるみに入る仕事を経験したことがあったので、それも役に立ったかな〜と思います(笑)。塩分は絶対に摂らないと!体力温存の基本ですね。

 

所長/友達の応援も励みになったのでは? 差し入れも多かったみたい(笑)

 

HIRO/はい、本当にそうなんです。先輩や友人が制作の様子を見に着てくれて、とても嬉しかったですね。いろんな差し入れもいただいて、飲み物を入れたクーラーボックスごと置いていってくれる人もいて。開けたらウイスキーの「知多」も入っていてびっくり!僕の誕生日と重ねてのサプライズだったのかな?と(笑)先生の奥様からのお水やお弁当の差し入れも、本当に嬉しかったです。ありがとうございました。

 

所長/なんと、制作中に誕生日!?

 

HIRO/僕は、誕生日には記念になる出来事を与えられる運があるみたいで(笑)。以前に賞をいただいた時も25歳の誕生日当日で、受賞の連絡前に、いきなり賞品が届きびっくりでした。

 

所長/HIROさんが熱心に制作する様子を見て、ご近所さんも「よくやってるな」と感心されていました。見守る人が、知らず知らずに増えましたね。

 

HIRO/現場を見に来た人から「ご苦労様」とねぎらわれたり、通りがかりの人にも「がんばってください!」と声をかけてもらいました。

 

所長/8月17日に完成し、足場を外したのが20日。私もずーっと足場を外す様子を見てましたが、あれはホントにすごかった。足場がなくなって作品を見た時はどんな感じ?

 

HIRO/足場が外れて絵があらわになった時は「やっぱでけえな」というのが第一印象(笑)。それまで足場の影が映っていたのがなくなって、すごいなと思いました。

 

所長/ずっと見ていた私としては、足場が外れて絵の全容が見えてくる様子をもっと多くの人に見てもらいたかったな〜という思いがわきましたね。そう、除幕式みたいに(笑)。足場があるとイメージしづらかった部分が、全体が見えてきてわかるというか。作品全体が見えていくプロセスをもっと細かくYouTubeなどで伝えるといいかもしれないなと。

 

HIRO/そうですね。おかげさまでSNSを通じてまわりの方々からの反応もわかり、プチバズってる感を味わいました!作品完成を伝えてくれたある人のSNSは2万ビューを超えたそうで。協賛してくださった絵の具メーカーさんも僕が制作した動画を社内の皆さんで見てくださったようです。今回挑戦させてもらって、やはり、アートがあることで「まち」が明るくなるのはいいなと。こういう面白い場所がある!すごいな〜!と思ってもらえるのが本当の成功じゃないかなと感じてます。

 

所長/全長130mのレトロ壁(問屋町二丁目協同組合商店街の南壁)のうち、窓のないミールの南壁にHIROさんの絵が完成したわけで!ミール以外の南壁は、どのビルにも窓があるから、その窓を活かすアートも面白そう。なんだか夢が広がっていくよね。

 

HIRO/なるべく多くの人に見て楽しんでもらって、それで次につながればいいなと。何より商店街の人たちが喜んでくださったら僕は嬉しいですね。

 

所長/ところで、制作過程を見ていてひらめいちゃったんだけど、あのウミガメの目をもっと強調しても楽しいなと。何かを埋め込んで、ある時間のある角度でみるとピカ〜ッと光るとか。

 

HIRO/なるほど〜。それは壁のゴツゴツ感を活かすという意味でも面白そう。埋め込むとしたら何がいいでしょう。

 

所長/ダイヤでもいいんじゃない?(笑)誰が最初に目までたどり着けるか競争が始まったりして。ミールだけに見る!観る! カメさんの目を光らせてみたいなあ、ハハハ。

 

所長の妄想が広がったところで、対談はおしまい。

皆さま、ぜひミール南壁のアートウォールを見にきてくださいね。

 

HIROさん制作の動画もお楽しみください!

 

 

 

写真は猛暑の8月某日。とにかく働き者のHIROさんと所長のツーショット。

2020 manatsu no mahiru no yume

(スタッフC)

 

 

withコロナの日々ですが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。守富環境工学総合研究所(Meel:ミール)では、研究所に在席率の高い所長と“いっしょ”の時間を活用して、連続インタビュー!

「守富所長と、いっしょ。」と題して、ミールと所長の今とこれからをお伝えします。

第三回のテーマは

「アートなウォール?ウォールアート?どうしてミールで始めるのですか?」

 

(通称「レトロ壁」。一番右の窓がないのがミールの裏壁)

 

◎前回の「守富所長と、いっしょ#02」でも話題になりましたが、ミールの南側壁面を使って、今月からペインターのMADBLAST HIROさんに絵を描いてもらう!という取り組みが始まりました。どうして、ミールでやってみようと思ったのでしょうか?

守富所長/岐阜大学を定年退職後、「環境デザイナー」という肩書きでこのミールを開きました。デザイナーという言葉には設計という意味もありますが、アートのデザイナー的なことも志向したい。もともと若い頃はデザイン的なことに興味がありました。ですが、どういうわけか、こういう道に進んでいます(笑)。

ですので、今回の壁絵は、環境のためというのではなく、自分の思い入れといいますか、より美しくしたい、気持ち良くなるようなアートっぽい場所にしたい!という思いがあります。もし、問屋町2丁目全体がそうなれば面白いですよね。

とはいえ、いきなり皆さんでやっていきましょう〜!というのは難しいことなので、私としてはできる範囲で、ビルの大家さんや町内会の皆さんにご理解いただきながらやってみたいなと考えています。

 

◎JR岐阜駅からペデストリアンデッキ(高架の歩行路)を歩いて問屋町2丁目を目指して降りる時、最初に目に入るところが、ちょうどミールの南側壁面ですね。

所長/そうなんです!そこに印象的な絵があればいいなー、楽しいな〜と。それが素直な気持ちです(笑)。それに問屋町2丁目のビルが連なる南壁面で、ミールの裏側にあたる壁面だけが「窓」がなくてノッペリしているでしょう。それをキャンバスと考えたらいいのでは?!とひらめいてしまいました。

壁絵を目印にペデストリアンデッキを降りてきて、ミールのビルの西側にある「荷下ろし場」を通り抜けて問屋街に行くという道筋ができたら、見る人も通る人も楽しくなりそう。たまたまミールのロケーションと建物の特徴が「壁絵」にぴったりと思ったんです。

 

◎8月に入り、いよいよペインティングが始まりますが、アーティストのMADBLAST HIROさんにはミールの広告を描いてもらうんですか?

所長/いえいえ、そんなつもりはモートーありません(笑)。ミールの広告とか関連するテーマをもとに描いてもらったら?と言ってくださる人もいるんですが、そもそもミールは外壁に広告を出すほどのものでもありませんし、中通りというんですか、アーケードがある側(アカデミックストリートになったらいいなと思う通り側)が玄関ですしね。アーティストさんには、しばりなく自由に描いてもらいたいなーと。

ただ、ミールを開設以来、多くの方にお越しいただいているんですが、ミールの南側にある37階建ての「スカイウイング37」の東棟4階に岐阜大学のサテライトキャンパスがあるもんですから、ミールに訪ねてこられた方が間違えて岐大サテライトに行かれてしまうことが度々あって…。なので、壁絵は、ミールの裏看板ではないですが「あの絵のあるところですよ〜」と目印になったらすごく嬉しいなとは思っています!

 

◎なるほど…殺風景な文字や地図より、絵が目印ですとチャーミングです(笑)ちなみにスカイウイング37の岐大サテライトと間違えて訪問されるお客様のことは、所長自ら製作したマップにも原因があるような気もします。表記がミールと同じ大きさの文字ですし(飲屋街の表記はそれ以上に大きいですしっ!)

所長/す、すみません。壁絵が完成しましたら、皆さま、ぜひそちらを目印にお越しください。

 

◎素敵な目印になると嬉しいですね!さて、すでに壁の下地も塗り終わりました。MADBLAST HIROさんはどんな絵を描かれるのでしょう。楽しみですね〜!

HIROさんの動画「下地を塗る様子」。かっこいいのでぜひ見てください!

所長/私も楽しみ〜!壁絵を描くプロで、これまでいろんな場所で描かれているHIROさんの作品ですから「とにかくアートな絵であって欲しい」と。今回は予算が限られているなか、気持ちよく引き受けて、とても意欲的に取り組んでくださっていて感謝しているんですよ。

HIROさんからは壁絵のラフを見せてもらい、町内の皆さんにもご披露しました。これからは実際にHIROさんが筆を動かす様子、絵になっていく過程も目が離せません。毎日ず〜っと見ていたいです(笑)

 

 ◎ミールの取り組みを一つのきっかけに、問屋町2丁目の南壁面がアートな場になっていったら…と夢も広がりますね!

所長/そうですね。ミールの壁絵がその第一歩になれば、とてもいいなぁと思っているんですよ。こういったアートウォールとまちの活性化について関心を寄せ、その効果を検証してみたいと今回の取り組みに関わってくださる団体もあり、おかげさまで昨日足場も組み上がりました。いよいよ始まるんだなあ〜とワクワクしています!

 

◎私たちスタッフもワクワクです!

所長/HIROさんの制作期間は今月中旬。連日35度超えをするような岐阜の真夏の暑さは凄まじいので、HIROさんにはとにかく体調に気をつけて取り組んでいただけたらと願っています。通りがかった人にもペデストリアンデッキや歩道から、制作過程を眺めて楽しんでいただけたら嬉しいです。くれぐれも、3密にならないように!!

 

◎今回の「守富所長と、いっしょ。」はこのへんで。

ミール南壁面のアートペインティングについては、壁絵とか、アートウォールとか、ウォールアートとかいろいろな表現をしてきましたが、所長と相談し、これからは「アートウォール」に統一してお伝えします。

今後もブログや、ツイッター(フォロワーは今も4人!!)で随時ご紹介する予定です。HIROさんのインタビューも乞うご期待!!

岐阜の酷暑に負けないで、to be continued!

 

写真は足場が架かった現場?です。あれ、現場監督みたいな人がいますね(笑)誰でしょう?

皆さま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。守富環境工学総合研究所(Meel: ミール)は所長をはじめメンバー一同、おかげさまで元気に過ごしております。コロナ禍のなかにあって尽力してくださっている方々への感謝を胸に、これからも健康管理に気を配りつつ頑張ります。

さて本日は、昨年末に行いました「ミールの人間図書館、はじめます」という取り組みのリポートを!こんなに遅くなってしまいお恥ずかしいところですが、よろしければご一読ください。

人間図書館は、人物図書館とかヒューマンライブラリーといった言葉で表現されることもありますが、「人」を「本」に見立てるという発想が出発点です。本の表紙を開けばいろいろな物語が待っているように、人という本のなかにもさまざまな物語があるはず。ミールでは、まずはミールのメンバーの中から二人に本役になってもらい、それぞれの人生や暮らしの物語の一編、一章、一節を語ってもらいました。本の読者はそのほかのミールメンバー。所長(館長?)の挨拶から始まり、いよいよ1冊目の本役、Kiさんのお話です。

タイトル『ジャムおじさんの冒険』

Kiさんは大学卒業後、自動車業界でエンジニアをして、ご本人いわく「材料屋さん」と「生産技術屋さん」をしてきて、生産技術屋さんでは設計も経験。ものづくりは楽しい、という思いがありました。そしてジャム?!

実はミールメンバーは度々Kiさんお手製のジャム、すももや桃、夏みかんなどいろいろな種類のものをいただいています。そのお味はもちろん絶品。あっという間にいただいちゃうおいしさです。でも、どうしてKiさんがジャムづくり? そんな疑問をもちながらも深く聞いてきませんでした。「ジャムおじさんの冒険」という本、読者であるミールメンバー全員が入り込んでいきました。

目次は以下のとおり。 1.なんでジャム 2.ダイバーシティって大事かも 3.私の本棚から

実家で採れる大量の夏みかんをジャムにしようと思いついたところからジャムづくりに夢中になり、研究?実験?を重ねていったというお話から始まりました。今では作りやすい分量なども導き出し、ご家族の協力もあって次々と新作が。ジャムづくりに邁進するなか、やがて自然のなかでなる果実、植物への思いが膨んでいくと、これまで気づかなかったつながりというのでしょうか、世界観というのか地球感?に思いが至るようになったということのようです。植物も人間も全体のなかの一員といった感じ。多様であることの大事さも感じているとのこと。自分で植物に触れ、ジャムをつくり続けるなかで感じることなのでしょうね。最後にKiさんの好きな本をおすすめしてもらいました。ブライアン・グリーン著『エレガントな宇宙』 ジャムおじさんの冒険の世界の一端が、この本に結びついているのかもしれないですね。難しそうな本ですがKiさんという物語のつづきをこの本でも感じられるかもしれません!

***

2冊目の本役はNaさん。スタッフNとしてもおなじみで本ブログのブックトーク「読んでミール?」のブックトーカーもしています。無論、本好き。でも自身が本になるなんて!そういうNaさんのお話、楽しみ!

タイトル『そして音訳』

Naさんは人形劇、朗読、音訳と、言葉を声にして表す活動をしてきました。現在は朗読と音訳の二本立て。これは同じようにみえるけれども、微妙に違う。微妙というよりも、かなり違うことなのです。なぜかといいますと音訳は目の不自由なかたのために図書などを声でつくるものですから、声に感情や個性が入り込んではいけません。

目次は以下のとおり。 1.音訳とは? 2.音訳にいたる道 3.私の本棚から

お話はやはり音訳についての説明から。ミールのメンバーは知らない人がほとんどでしたので丁寧に伝えてくれました。音訳と朗読の違い。そこがポイントです。朗読と音訳の違いは、ナレーションとアナウンスの違いということ?といった読者メンバーからの言葉がありましたが、なるほどそのとおり!Naさんが音訳の道にいたるまでには、人形劇や朗読の活動があり、とくに朗読と音訳の両輪ですすむことにしたあたりは、Naさんならではの優しさや強さを感じます。一つひとつの経験がページをめくるように、音訳と朗読を一緒にやっていくという物語へと進んでいったのですね。締めくくりにNaさんの大切な本を紹介してもらいました。小さなお魚のお話、レオ=レオニ『スイミー』です。人形劇サークルで活動していた時の思い出の絵本。Naさんは「スイミー」役をしたそうです。

記念すべき初回ということで、朗読活動もしているNaさんに詩の朗読をお願いしました。長田弘さんの「世界は一冊の本」

とてもすてきな時間でした。

本役のお二人、本当にありがとうございました。

進行をつとめた司書役としましては「この企画、言い出したのはいいけれど、うまく進むのかなあ〜」と正直、心配も少しありました。でも、スタートしてすぐに安心しました。というよりもワクワクしました。

どうしてかといいますと、読者役のメンバーが黙っちゃいません。本役のお話の途中で質問やら合いの手やら、いろいろ挟み込んできまして・・・。脱線しながら広がりながら、物語の世界を行きつ戻りつ。そして、本役のご家族も同席してくださり、その温かなご支援もいい感じでした!じつは、質疑応答などという堅苦しい時間も設けてはいたのですが、それは不要でした。

本役(語り手)と読者(聞き手)がいて、一冊の本が生まれる。そんな読後感。お互いを知りつながっていく・・人と人のコミュニケーションというのは、そういうものかもしれませんね。またいつか開催したいです。

 

(スタッフC)

 

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