ウカンムリ日記
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皆さま、こんにちは。

ミール風ブックトーク「読んでミール?」の第二弾をお送りします。今回のテーマは、ミールの仕事の4つの柱、リサイクル・エネルギー・環境・人とのつながりのうちの、「人とのつながり」。とっても広がりがあって、なんでもあり?のようなテーマですが、ミールの2人がブックトーカーとなって、それぞれのこころの本棚から好きな本をご紹介します。

なお、打ち合わせなしで進めていますので(笑)、ご紹介する本の年代に偏りがあります。

新しい本や話題になった本、昔の本だけどいまも出版され続けている本、もしかしたら絶版の本?など、もしよかったら読んでみてくださいね!

 

Book Talker Naomi***

 

①瀬尾まいこ著
『そして、バトンは渡された』(2018)文藝春秋
それは2人の母と3人の父の間をバトンを渡すように育てられた女の子の話です。

母親が幼い時に亡くなり、父親が若い女性と再婚する。その父が海外赴任する事になり若い義母と日本で暮らすが…その後、父との連絡が途絶え義母は高齢の男性と結婚する。しかし義母は出て行き義父と暮らしていると、義母が迎えに来て今度は若い男性と結婚する。そしてまた義母は出て行き、若い義父との生活が…。こう聞くと何という大変な生い立ちで、苦労を重ねて成長してきたんだろうと思いますが…本人は全然苦労をしたとは思っていなくて、むしろ5人の親達から沢山の愛情をもらって、とても幸せに暮らしていたと思っています。
確かに、中には一風変わった形の愛情表現の親もいますが…でも間違いなく皆が彼女をとても愛していたのです。そして彼女がその愛情を愛情として受けとめる心があったからこそ…胸を張って幸せだと言えるのだと思います。
人と人とのつながりは相手を思いやる心、そしてそれを受け入れる心があって初めて成立するのかと思いました。

 

②海猫沢めろん著
『キッズファイヤー・ドットコム』(2017)講談社
これはホストをしている男性が自分の玄関の前に捨てられていた赤ん坊をクラウドファンディングで育てる…という近未来的な話です。
名前を付ける権利とか初めて抜けた乳歯をもらう権利とか!奇想天外な発想でお金を集め育てていく。中には「これはどうなのだろう?」というものもありますが。

でも基本的にはこのホストは自分の子かどうかも分からない赤ん坊に愛情を注ぎ、どんな事をしてでも育てようとしている事は素晴らしいと思います。
そして子育てを助けるため、クラウドファンディングで出資している人達もこの子の為に何かしようという思いを持った人達で…。これこそ人と人とのつながりかなと思った一冊です。

 

③辻村深月著
『ツナグ』(2010)新潮社
これは人と人のつながりと言っても、片方はもう亡くなった人という変わりダネで、一生に一度だけ死者との再会を叶えてくれる使者(ツナグ)を継承した高校生の話です。
それは自分の思いをお互いに伝えられないまま亡くなった親子だったり恋人同士だったり、友達だったりを一晩だけ会わせる仕事。そこには会いたい人に会えて思いを伝えられた喜びもありますが…またすぐに別れる悲しみや知らなかった方が良かった苦しみもあります。

間近で色々な人の出会いを経験し、自分の両親が亡くなった訳も知る事になるツナグという仕事。彼が最後にその仕事を継承する事を決めたのも、やはり人と人(死者ですが)が対話すること(つながる)ことに意味を見出したからなのかもしれません。

 

 

 

Book Talker Chie***

 

(1)

文シャーロット・ゾロトウ、絵メアリ・チャルマーズ、訳矢川澄子

『にいさんといもうと』(1978)岩波書店

この絵本の登場人物はにいさんといもうとの二人だけ。にいさんが妹をからかって、ちょっといじわるな言葉を言うたびに妹が泣く、という繰り返しのお話です。でも妹はお兄ちゃんのいじわるを真に受けているばかりではありません。ある日、本当はいじわるなんてしていないことも知るのです。だから、二人はやっぱり自然に仲良く並んで遊びます。

私ごとながら、私には5つ年上の兄がいて、幼い日、心配性の兄は生まれたての妹の様子を見に行くために度々保育所を脱走しては家に帰り、小学6年になると1年生になったばかりの妹の教室を何度も見に行ったそうです。そういう兄がいて、私がいるのかなと思います・・・。

兄と妹の幼いやりとりのなかに温かみや平和を感じ、二人のつながりのなかに言葉では表せない皮膚感覚の信頼や親しみを感じるこのお話。子どもの読者はどう感じるのかはわからないのですが、大人の読者は本に呼吸を合わせているうちに懐かしく、子どものときにふと戻れるような感覚になります。何と言っても水色と黄色の配色が美しくて、やさしい。活字や絵は無音でも、愛らしい音楽が聞こえてくるみたいに。

ちなみに英語タイトルは『BIG BROTHER』。日本語訳のタイトルのやさしさが素敵だなーと思うのですが、いかがでしょう?

 

(2)

ぶんジャニス・メイ・ユードリー、えモーリス・センダック、やくこだまともこ

『きみなんかだいきらいさ』(1975)富山房

こちらの登場人物も二人だけ。ジェームズとぼくの友情のお話です。最初のページは「ジェームズとぼくはいつもなかよしだったよ」と始まるのに、次をめくると「でも、きょうはちがう。ジェームズなんかだいきらいさ」となってしまう。二人がどれほどなかよしだったかは「みずぼうそうにもいっしょにかかった」ほどなのに、「でも、もうジェームズとはいっしょにみずぼうそうにかかったりするもんか」とぼくは怒っています。

ページごとにジェームズに対する不満が伝えられ、怒り続けるぼく。彼らは一体どうなるの?それは大人の読者ならわかっていることですが・・・やっぱり、仲直りできるようです。こちらも配色の妙、緑と赤の二つの色にこころが動く一冊で、白地を生かした「間(ま)」も言葉以上に雄弁で幼い二人が生み出す空気感を表現しています。

英語タイトルは『LET’S BE ENEMIES』。あれれ、これは、穏やかな表現ではないような。私なら、『だいきらいは、だいすき』と付けたい本です(笑)。

英語の絵本や児童書の翻訳はとても難しいことなんだろうなあと想像します。タイトルはなおさらのこと。シンプルでわかりやすく、そしてイメージがふくらむように。日本語、そしてひらがなの柔らかな力を借りて、こころをそっと包んだり、ドキドキワクワクさせたり!短い文章やタイトルを味わうことも読書の楽しみですね。

 

(3)

平野レミ著

『笑顔がごちそう』(1997)講談社

料理愛好家、シェフではなくてシュフという平野レミさんのお料理番組を見たことのある人ならば、彼女の自由で楽しいお料理づくりの様子に思わず笑顔になり、肩の力が抜けるのではないでしょうか。

さて、おしゃべりやふるまいが楽しい人の本はやはり楽しい!ということが実感できるのがこの本。レミさんの独創的な料理「七夕そうめん」や「もちもちカレーチャウダー」「きんぷらおやき」を紹介する写真も魅力的ですが、エッセイやイラストレーションがとにかく楽しい。「みんなで食べると仲良しになる」「誰かのためにおいしいものを」「小さい子は詩人」などのエッセイでは、子供や夫、友達など身近な人とのつながりが、食べものや食卓を囲む時間を通じて描かれています。お子さんたちが描いたという絵もユーモアたっぷり。本の装丁・デザインは夫でイラストレーターの和田誠さんという家族の愛情が満ちた一冊です。ちなみにこの本は20年以上前の本で、本に登場するお子さんたちも今では立派な大人。今ではそのお嫁さんも料理研究家として活躍していますね。家族の成長とともに、つながりも変化して広がったり深まったり。そんなことを思い浮かべながら読むのも楽しいですよ。

 

 

***

 

 

写真は、岐阜市庁舎建設中の写真。「ささえーる」という言葉をかかげるクレーン車もひと休み。

「ささえる」強さも時には休んで、人のつながりの中でゆっくり、のんび〜りしたいですね。

 

(スタッフN&C)

 

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