ウカンムリ日記
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皆さま、こんにちは。

今日はミール風ブックトーク「読んでミール?」の第5弾をお届けします。

テーマは「ねこ」。その理由はミールのマスコット・黒猫のミールに敬意を表して(というのと、ブックトーカーのふたりが猫大好きだから!)です。

ねこをテーマに決めたのはいいのですが、好きとはいえ、やはりあちこち迷い道は毎度のこと。何か月もかかってしまいました。今回もブックトーカーふたりのこころの本棚から3冊ずつ、ご紹介します。

第5弾「読んでミール?」の始まり、はじまり。

 

Book Talker Naomi***

佐野洋子著
『100万回生きたねこ』(1977)講談社

100万年もしなないねこ。
100万回もしんで、100万回も生きた、とらねこのお話です。
100万回の様々な人生(猫生)を送ったねこが100万回目を最後に生き返るのをやめたのは?
これは大人の為の絵本では?と思うほど胸にせまってくる絵本です。
その証拠にこの絵本を愛してやまない13人の著名な作家達(谷川俊太郎・角田光代・工藤直子・江國香織など)が思わずオマージュするような短篇を書いてしまったというのが…
『100万分の1回のねこ』(2015)精興社です。
併せて読んでいただければ2倍…いえ13倍楽しめます。

角野栄子著
『魔女の宅急便(全6巻)』(1985〜2009)福音館書店

このお話は映画で有名ですが、映画で描かれたのは実は始まりのほんの一部分。そこから主人公のキキが宅急便の仕事を通して様々な経験をしながら成長し、やがて結婚して母親となり子供の成長を見守るまでが6冊に渡り描かれています。
そしてその中で重要な役割を担っているのが黒猫の存在です。
魔女に子供が生まれると必ず生涯の友である黒猫があたえられます。キキも自分の双子の子供達に1匹ずつ与えます。
飛ぶ魔力が備わっているけど魔女として生きる事を迷っている女の子と飛びたいと願いつつも飛ぶ魔力のない男の子…そんな2人ですが黒猫と会話する力だけは均等に備わっていました。
そしてそれぞれの道に向かって黒猫と一緒に旅に出る2人…それはかつてのキキと黒猫ジジのようです。

工藤直子著
『ねこ はしる』(1989)童話屋

これは捕食関係にある子猫と魚の間に芽生えた不思議な友情とその成長を描いた作品です。
それを見守るのは「野ウサギ母さん」や「おたまじゃくしからのつきあいの蛙」「昼寝をしていた蟻」「通りがかったみつばち」などだけでなく、「野原に立つケヤキの木」や「ゆれるススキたち」「水底の石」「太陽」「風」など自然の中にあるもの全てに語らせる事の出来る工藤直子さんならでは個性豊かな脇役達です。
命の尊さを考えされられ…大人にも子供にも是非読んで欲しい作品です。

 

Book Talker  Chie***

 

宮沢賢治作

『猫の事務所』(1983)パロル舎

宮沢賢治ファンにとってこの本はどのような位置付けなのでしょうか。猫好きの私としましては、猫の生態をたくみに匂わせつつ、本当は人間界のいじわるなこころを詰め込んだお話、というふうに感じます。

舞台は猫の第六事務所。「ここは主に、猫の歴史と地理をしらべるところ」で、職員は事務長(黒猫)と一番書記(白猫)、二番書記(虎猫)、三番書記(三毛猫)、四番書記(かま猫)の計5名。かま猫とは皮膚がうすいので寒がりでどうしてもカマドに体をつっこんで寝てしまうため、いつも煤で汚れた猫のことをいうのですが、物語の主人公がこのかま猫です。

書記は知的職業で、一般の猫から羨望の目でみられるエリート。その狭き門を最後にくぐりぬけた、いわゆる新人書記のかま猫は40人の中から選ばれたという超エリートです。

そのようなかま猫は優秀で気遣いがあるゆえに、先輩書記に嫉妬され、事務長には誤解されてしまう。先輩たちのいじめの手口は、猫の無軌道なノビやらアクビやらの呑気さとは裏腹に陰湿です。最後は思いがけない展開で事務所は閉鎖してしまうのですが・・・。

物語のディテールをのぞくのも面白いです。猫は何人、と数えられ、優秀なかま猫の仕事ぶりは、質問にすぐに答えるため「かま猫はもう大原簿のトバスキーとゲンゾスキーとのところに、みじかい手を一本ずつ入れて待っていました」と、事務長らがその周到ぶりに感服する場面があります。そう、猫は、完全なる人扱いです。

ところで、この本の名朗読に長岡輝子さんによるものがあります。東北弁のイントネーションで語られるお話に聴き入ると、いじめの過程が滑稽で・・。そもそもいじめは滑稽な世の姿、という気もしてくるのは不思議です。

長岡さんの「原簿、原簿(ゲンボ、ゲンボ)」という声が可愛くて・・・。ちなみに原簿は書記猫にとって知のシンボル。先輩猫にいじわるをされて、取り上げられた原簿にも意味を感じます。ぜひ朗読での読書もおすすめします。

 

大佛次郎著

『猫のいる日々』(1978)六興出版

猫と作家は切っても切れない間柄。内田百閒先生の『ノラや』は飼い猫が失踪したのを悲しむあまり猫探しにのめり込む老作家(ご本人)のお話ですし、夏目漱石は猫好きかどうは不明なれど、猫の目線で小説を書き、これにより職業作家となりましたし、猫を描いた絵も残っています。脚本家の向田邦子さんの愛猫マミオは、彼女が旅先のタイのバンコックでひとめぼれして我が家に迎え入れた猫でした。

『鞍馬天狗』など歴史小説で名を馳せた大佛次郎も並外れた猫好き。猫を題材にしたエッセイや物語を多く残しており、没後『猫のいる日々』が出版されました。どのお話も猫好きには心地よく楽しいものですが、童話『スイッチョねこ』は、虫を飲み込んだ子猫・白吉の苦悩と、不思議な安らぎを猫の気分になって読めるお話です。スタッフNさんのおすすめ『ねこはしる』に登場する猫と魚の関係性にも似ていながら、視点が違えば、このようなファンタジーにもなるんだなあと感じる本でもあります。

大佛次郎の名文は童話の世界でも素敵です。最後のほうにこんな一文が待っています。

「しかし、じょうぶで生きていれば、この世の中がどんな時もたのしいし、よいものだと知っていましたから、朝起きるのをたのしみに、ぐっすりと、よくねむるのでした。いつも目をさますと、きのうとちがう新しい朝がきています」。

子猫も尊い日々を懸命に生きながら、いつもいつも、新しい今日を迎えているのですね。そう、私たちも!

 

ハンス・フィッシャー文・絵 石井桃子訳

『こねこのぴっち』(1954)岩波書店

ねこの絵本は数々あります。あると思います。けれども、私の書架にずーっと居続けてくれるこの本は、やはり絵の可愛らしさが特別で、どうしてもおすすめしたい一冊です。ハンス・フィッシャーは『ブレーメンのおんがくたい』の絵でも知られるドイツの作家です。

さて、主人公であるぴっちという子猫は、他の兄弟猫とは違う行動をします。その理由は、にわとりやヤギといった他の動物に会うたびに、彼らになってみたいという憧れがこころいっぱいにあふれるから・・・。

この本を眺めていると、出会うお友達は猫とは限らないと知り、自分を猫と決めつけない、というこころの柔らかさに驚きます。スウェーデン人作家のアストリッド・リンドグレーンが描く世界一強い女の子の物語『長くつ下のピッピ』の自由さも、ふと思い浮かべたりもします。

ぴっちとピッピ。似た者どうしかな(笑)。

 

(スタッフN&C)

 

 

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